LINE18.GIF - 6,220BYTES

「のーさつ日本史劇場」前巻までのあらすじ 


大英帝国・倫敦に留学中の尾崎は、モリソン邸に来た時から奇妙な夢を見る様になっていた。
それはお腹に子を宿した、テオドラに瓜二つの少女の夢。夢の内容が気になる尾崎は
日本の大隈に相談の手紙を書くが、一方で、彼は今更ながらのホームシックを患い始めていた…。

そんなある日、尾崎は執事のランディから、以前テオドラの誘拐事件で力になってくれた
美女シルヴィアが倫敦警視庁の人間ではないと知る。彼女の正体を探ろうとする尾崎は、
本人に企みを見抜かれるも、彼女の許可を経て尾行先の敷地に入ることを許される。
しかし、そこにあったのは何と純和風の日本庭園であり、シルヴィアはそこの管理請負人だという。
驚く尾崎の元に現れたのは庭園の主人、尾崎三良。以前上野公園で一度出会った人物であった。
本好きで気さくな彼と語らう内に、ホームシックを回復させてゆく尾崎。
彼こそが自分を帝都から追放した原因である「保安条例」の草案者だとは気付かぬままに…。

一方その事実に気付き苦悩する三良をみかねたシルヴィアは、事業家も兼ねる大学教授
クレイトンの疑いを逸らす狙いもあり、尾崎に三良との接触禁止を言い渡す。
友人の為、と受け入れたものの、落ち込む尾崎。それを慰めたのは、読書を巡って
尾崎に反発していたテオドラだった。話の中で尾崎の政治的素性を知ったテオドラは、
変わらぬ信頼を尾崎に告げるのであった。

そして三良にある「疑い」を向けていたクレイトンは、尾崎と三良をわざと鉢合わせさせる策に出る。
だがその場で尾崎は三良を庇い、さらに三良も保安条例のことを説明する。さらにシルヴィアが
テオドラから託された資料でクレイトンを説得したことで、ようやく誤解は解け、三良と尾崎の
立場を超えた友人関係も継続されることになる。

その後、尾崎の見る不思議な夢について、大隈からの返信がやってきた。
大隈は夢の正体を「屋敷に宿った住人の記憶」と推測していた。
前後して尾崎らと和解したクレイトンは、尾崎が三良の隠し子だとの噂が
あったのだと明かす。噂の出所は以前尾崎を下宿先から追いやった
ガーランド家…。そして、「花の娘」の物語を語るテオドラ…。
穏やかな日々に小さな謎が蠢く中、尾崎は「ある男」が倫敦から
姿を消したことに気付く。そう、それは日本からの帰国要請を受けた
外務省のエリート参事官、加藤高明であった…。

→別館収録のお話を読む。